幌延町小学校社会科副読本「ほろのべ」
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宗そう谷や地方に伝わるアイヌの伝でん説せつ55 (1879~1963年)柏木ベン「抜ばっ海かい岩いわの伝説」昔むかし、天塩アイヌと宗谷アイヌの戦たたかいのときのことである。天塩アイヌが礼れ文ぶんアイヌに応おうえんを求もとめた。礼文アイヌは海を渡わたってかけつけたが、戦いは一いっ進しん一いっ退たいであった。礼文アイヌは帰国のため、抜海から船出をしようとしたが、暴ぼう風ふうにみまわれ、長い間抜海にとどまることになった。1人の礼文アイヌの若わか者ものが、ここのメノコと恋こい仲なかになり、ついには子こ供どもまでできた。しかし、若者はひそかに2人を残のこして、礼文に帰ってしまった。うらぎられたメノコはこの岩によじ登のぼり、若者の名前をよびつづけ、子供をせおったまま岩になってしまった。 宗谷地方におけるアイヌ文化の継けい承しょう者しゃ:柏かしわ木ぎベン 現げん在ざいの稚わっか内ない市宗谷(第二清きよ浜はま)で育ち、アイヌ語の話し手として研けん究きゅう者しゃの調ちょう査さにも応こたえ、宗谷アイヌの言葉や文化を語りつぎました。宗谷アイヌの歴れき史しや文化に関かんする記き録ろくは、とても少なく、貴き重ちょうな伝でん承しょうとなっています。宗谷各地には、ほかにどんな伝説や伝承があるのでしょう。 「稚内市し北ほっ方ぽう記き念ねん館かん」にいろいろな資し料りょうが展てん示じしてあります。 http://w-shinko.co.jp/hoppo-kinenkan/

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