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情報教育の取り組み

コンピュータ導入の経緯

幌延中学校では、昭和60年度よりパーソナルコンピュータを導入し、教育活動を展開してきました。導入された機器は、当時一般的にも普及していた8ビッ トのパーソナルコンピュータで、周辺機器や各種ソフトウェアも配置されました。導入に際しては、当時の文部省が進めていた全国の中学校94校へのコン ピュータの助成を受けることになり、専用教室へ47台を設置し、1人が1台を利用できるという当時としては極めて稀な環境でした。

最初に導入したコンピュータ「X1turbo(SHARP)」

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X1turbo
当時の8ビットパソコンでは、グラフィック性能など処理能力が高く、ゲームやビジネスアプリケーションもたくさんありました。「テレビも見ることができるパソコン」ということで、スーパーインポーズ機能をはじめ、その気になればビデオ編集までこなせたパソコンです。

パソコンをスタンドアロンで利用することが当たり前の時代に、CAIを効果的に利用できるようネットワークで結ばれていたことが当時では非常に珍しく進んだシステムとして注目されました。

CAIを活用した授業の実践

パーソナルコンピュータの導入目的は、教科領域における学習支援、及び情報処理に関する学習の推進でした。特に、教科領域における学習支援では、CAI(computer‐assisted instructionの略で、「コンピュータ支援教育」の意)の学習システムを導入し、生徒の実態や指導法に合わせたオリジナルコースウェアの開発に手掛け、研究実践に取り組んできました。これにより、生徒一人一人 の個性や能力に応じた指導法を確立し、全国的にも高い評価をいただいたところであります。
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導入当初のCAI授業の様子
コンピュータの配置は、導入当初から現在まで円卓を利用しています。学習者のコミュニケーションを生み出し、互いに教え合うなど協力することで学習の高まりを期待することができます。

システムの更新

幌延中学校でスタートしたCAI教育も、やがて町内すべての学校で利用できるようになりました。その後、16ビット、32ビットクラスの処理能力を備えるコンピュータやネットワーク対応のコンピュータへと更新していますが、その環境はCAI教育を前提に整備されています。現在は、市販のコースウェアの充 実に伴い、コースウェアを開発する機会は少なくなりました。しかし、すべての学校に各教科のコースウェアが配置され、CAI教育に取り組んでいます。
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現在のCAI教室の様子
現在は、Windows98を中心としたシステムで組まれています。CAIを利用した学習はもちろん、インターネットやネットワークを利用したコミュニケーションサービスを利用することも可能です。

インターネットの利用

このような、CAI教育に取り組む一方で、インターネットワークを活用した情報教育にも、いち早く取り組んできました。インターネットワークへの接続は、幌延中学校からスタートしました。平成6年からプロバイダを経由して接続し、各種サービスを利用する試みをはじめました。

当時、インターネットを利用できるコンピュータはわずか数台でしたが、主にWWWやE-mailといったサービスを日常の授業等に取り入れることができました。当時の活用例の一つに、情報処理学習成果の発表の手段として、学校を紹介したホームページの公開があります。生徒たちは、ホームページの作成や発信を通して、情報処理に関する知識や技能の習得はもちろん、情報リテラシーについても学ぶことができました。

MS-DOSのマシン上でプログラミングを行い、ファイルをWeb表示の可能なマシンに集め、サーバーマシンへ転送するといった方法で学習を進めていました。既存の環境を有効に活用し、生徒たちの情報活用能力の育成に力を注いできた一つの例です。

平成8年度からは、幌延中学校と問寒別小中学校で、稚内北星学園大学(当時短期大学)のサポートのもと、WWWやE-mailの管理を自校で行い、状況に応じて環境を構築できるという利点を、教育活動に生かそうという試みで、UNIXサーバーの運用をはじめました。

問寒別中学校では、ホームページの公開をスタートさせ、情報提供の充実を図ることができました。

必要に応じて生徒や教師のアドレスを発行し、E-mailの機能を活用できるようにしてきました。当時、すでに研究指定を受け取り組んでいたマルチメディア交流授業では、TV会議システムで交流授業がない期間のコミュニケーション手段として、E-mailを利用するなど、道外校と継続的な深まりのある交流へ発展させることができました。

平成10年度からは、3校と教育委員会を結んだ町内ネットワークを導入しました。インターネット利用の他、町内独自のネットワークサービスを開始し、コミュニケーションや情報共有の手段として利用しています。掲示板や投票などの機能をもつ「コミュニティーキット」を活用した例では、教科などの枠で設定した専用のページから、他校の先生方へ質問を投稿し、教えてもらうといった交流が見られます。他の児童生徒、先生方が閲覧したり、書き込んだりできるので、話題を広げることも可能です。最近では、掲示板(BBS)の特性を利用し意見交換を取り入れた道徳の時間における実践など、新たな試みも行われています。

WWWを利用した授業も数多く実践されており、特に資料を入手する手段として活用されることが多く見られます。例えば、学校行事の運営に役立てる目的で、他校のホームページを閲覧したり、修学旅行の事前調査に活用したりしました。進路の選択に役立てようと、高等学校の様子をホームページで見る児童生徒の姿もあります。
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サーバコンピュータ
町内すべての学校のコンピュータをネットワークで結び、町内独自のネットワークサービスの提供を行っています。幌延中学校では、ネットワークサーバが設置されており、効率的な管理に心がけています。

マルチメディア(テレビ会議システム)を活用した交流授業の取組

さて、CAI教育とネットワークを利用した情報教育の推進と平行して、問寒別中学校と幌延中学校では、平成7年度から3年間、文部省の「へき地学校高度情報通信設備活用方法研究開発事業」の指定を受け、研究実践に取り組んできました。この研究は、マルチメディアと呼ばれる、テレビ会議システムや各種視聴覚機器で構成された通信機器を教育活動に取り入れ「へき地学校教育の充実」を図ることが主な目的であります。

平成10年度からは、中学校の継続指定とともに、新規に小学校でも指定を受け、全町体制で研究に取り組んできました。研究方針も、「へき地学校教育の充実」から、高度情報化社会に生きる子供たちに必要な「情報活用能力の育成」と内容を進化させてきました。また、研究の柱として、社会的背景やそれまでの研究成果から考え出された、「情報の3つの手」という情報活用能力を具現化した視点を定め推進しております。
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相手校へプレゼンテーション
テレビ会議システムは、生徒の様子を撮影する「カメラ(3台)」、相手校の生徒の様子を映し出す「大型受信モニタ(1台)」、送信映像を確認する「送信モニタ(2台)」音声を収集するための「集音マイク(1台)」「ワイヤレスハンドマイク(5台)」となっています。ほかにもVTRやDVDをはじめとするAV機器 や機器制御のコンピュータやリモコンとたくさんの機器で構成されています。
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カメラに向かって意思表示の様子
これまで全国のたくさんの学校、交流授業を実施していました。最近は、静岡県川根中学校、笹間中学校、沖縄県嘉陽中学校と交流授業を行ってきました。